2005年2月 1日
「一太郎」販売停止の判決
カテゴリー: [情報技術]またまたくだらない特許のお話.
この裁判は,何かのアイコンをクリックしてから,知りたい機能のアイコンをクリックすると,関連するヘルプが表示される技術というのが,松下の特許であり,ジャストシステムはそれを侵害したという訴えのようです.
Windowsや,Wordで,ウィンドウの右上にある「?」と書かれたボタンを押してから,他のアイコンなどの項目をクリックすると,関連するヘルプが出てくる機能を使ったことがある人もいると思います.
じゃあ,Windowsは問題ないのかというと,「?」は「アイコン」じゃないので,よいという話なのです.
なんだよ,それ(笑)
上のページにもありますが,松下がジャストシステムを訴えたのは,これだけではなく,Windowsのヘルプ機能を使った,同様のヘルプを搭載した「ジャストホーム2家計簿パック」に関しても,訴訟を起こしていました.
H16. 8.31 東京地裁 平成15(ワ)18830等 特許権 民事訴訟事件
こちらでは,松下が敗訴しているのです.その理由が,「?」はアイコンじゃないから...
ジャストシステムは,これは,Windowsのwinhelp.exeの機能を使っているだけであって,「ジャストホーム2家計簿パック」は関知していないという主張をしたのですが...
判決は,「?」はアイコンじゃないという理由で決まったようです.
そこまでやるなら,「?」は文字なのか,図柄なのかというところも議論してほしかったですね(笑)
ちなみに,アイコンの定義の根拠は「岩波情報科学辞典」や「情報・知識imidas」だそうです.特許を申請するときは,これらの辞典を見ながらにしましょう.
ちなみに,この裁判官,この手の知的財産権訴訟関係では,悪い意味で有名らしいですが.
前の裁判では,松下は敗訴しましたが,今回の裁判では勝訴しました.何が違ったのかというと,「マウス」の絵柄が,「?」ボタンに追加されていたからなのです.その機能自体は,今までと同じWindowsの機能を使ったもので,何も変わっていないのです.
(きっとこれ→)
もう,ばからしくなってきます.
私としては,こんな訴訟や判決の詳細は正直どうでもいいです.文字なのか,絵文字なのかなんて,考えたくもありません.
それ以前に,これはあまりに単純な技術です.Windowsの機能を使っただけですし.
ですから,「?」ボタンのように,この特許に類似する機能は普通にあるわけです.
ジャストシステムが,松下からのライセンス契約の要求を拒否した気持ちがよく分かります.
しかし,この手の特許訴訟が企業イメージの悪化を招くという発想はないんでしょうか.さんざん他の企業が悪い見本を見せてくれたというのに,まだ気がつかないのでしょうか.
最近の事例ですと,SCOはどうなりましたっけ?他には,Amazonのワンクリック特許もあります.
Let's note を買いたいと思っていたんですが,本気でどうしようか悩んでいます.
と思ったのですが,この記事を見たら,どうでもよくなりました.まあ,写真を見てくださいな.
しかし,選択肢が他にあったら,松下製品はさけるでしょうな.
発明に対する投資の回収手段としての特許制度のはずですが,なぜ,この程度のものに特許が認められなくてはならないのでしょうか.業界の発展どころか,強力なブレーキとなりそうです.
まあ,出願が平成元年だそうですから,当時は全くこういうものがなかったのかもしれません.それでも,私はこれを特許と認めたくないですけど.
文字か,絵文字かなんて,どうでもいいことが議論の対象になるのは,その程度ことしか議論できないくらい単純なことだからでしょう.
ソフトウェアの特許の場合,当たり前に使われているテクニックが,いつのまにか特許になっているということが多すぎます.
特許をとらない奴が悪い,という人もいます.しかし,ソフトウェア特許が問題になるのは,誰でも同時多発的に思いつきそうなことや,一般的な技術が特許になっているからです.
当たり前だと思っていた技術の特許をとる奴がいるなんて,誰が思うでしょうか?
投稿者 shingo : 2005年2月 1日 23:21
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://isolinear.info/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/35